ブルックナー好きにとって、欠くことができないのが5番です。思索的でありながら、時に子供のような素直さの吐露を垣間見ることができる。複雑な音楽の重畳とともに、ふと単純で美しいメロディに遭遇する。激しくかつ広いダイナミックレンジと、嫋々とした静寂さが交錯する。緩急の自在。管と弦の覇を競うようなぶつかり合いと絶妙な調和をへての融合。これらの特色がもっともよく表象されているのが5番だと思います。
◆クナッパーツブッシュ ウイーンフィル 1956年 London
◆フルトヴェングラー ウイーンフィル 1951年(ライブ) Seven Seas
ここでは版の違いは無視して両巨頭のブルックナーへの深い共感に耳を傾けたいと思います。ブルックナーを聴き始めた中学生の頃、クナ、フルヴェン、シューリヒトのLPでの聞き比べが定番でした。随分ながく聴いていますが、両盤ともに未だに魅力が減じません。なお、フルトヴェングラーはベルリンフィルと共演した1942年盤も音質は悪いながら一聴に値します。
- Introduction. Adagio – Allegro.
- Adagio. Sehr langsam
- Scherzo. Molto vivace (schnell) – Trio. Im gleichen Tempo
- Finale. Adagio – Allegro moderato
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