ヨッフムの偉業はなんと言ってもブルックナーの交響曲全集や多くの宗教曲集を残してくれたことでしょう。しかも、彼がブルックナーの交響曲や宗教曲を体系的、系統的に録音しはじめた頃は、誰も今日のようにはブルックナーへの熱い視線は送っていなかったと思います。
ヨッフムが第1回の交響曲全集を完成させたのは1966年ですが、その後に続く代表的な指揮者の全集をいくつか拾ってみると、ハイティンク/コンセルトヘボウ(63-72)、朝比奈隆/大阪フィル(75-78)、マズア/ゲバントハウス管弦楽団(74-78)、バレンボイム/シカゴ響(72-80)、ヴァント/ケルン放送響(74-81)、カラヤン/ベルリン・フィル(74-81)となりますが、この時にはヨッフムは2度目の全集をドレスデン国立管弦楽団で収録済みですから驚きです。
4番や後期のブルックナーを定着させたのは、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、シューリヒト、ワルター、クレンペラーらの先人ですが、1~3番や5番の素晴らしさを一般に教えてくれたのはヨッフムの飽くなき挑戦あればこそと思います。
ヨッフムのブルックナー録音リスト
(備忘録/HMV、Amazonからの検索で完全なものではありません)
◆交響曲全集:ベルリン・フィル,バイエルン放送響
(旧盤:1958ー66年録音)
:ドレスデン国立管弦楽団(新盤:1975ー80年録音)
以下は旧盤他を掲載し新盤は記載せず
◆第1番:ベルリン・フィル(1965年録音)/ リンツ稿ノヴァーク版
◆第2番:バイエルン放送響(1966年録音)/ ノヴァーク版
◆第3番:バイエルン放送響(1967年録音)/ ノヴァーク版
(1889年稿)
◆第4番:ベルリン・フィル(1965年録音))/ ノヴァーク版
(1886年稿)<他にコンセルトヘボー(1975年)
のライブ盤もあり>
◆第5番:バイエルン放送響(1958年録音)/ ノヴァーク版
<他にコンセルトヘボー(1964年、1986年)の
ライブ盤もあり>
◆第6番:バイエルン放送響(1966年録音)/ ノヴァーク版
<他にコンセルトヘボー(1980年)ライブ盤もあり>
◆第7番:ベルリン・フィル(1964年録音)
<他にコンセルトヘボー(1986年9月17日:昭和女子大
人見記念講堂)ライブ盤、フランス国立管弦楽団(1980年
2月5日:パリ、シャンゼリゼ劇場)盤もあり>
◆第8番:ベルリン・フィル(1964年録音)/ ノヴァーク版
(1890年稿)<他にハンブルク国立歌劇場管弦楽団(1982
年)、 バンベルク響(1982年9月15日)ライブ盤もあり>
◆第9番:ベルリン・フィル(旧盤:1964年録音)/ノヴァーク版
<他にベルリン放送響(1984年3月25日)バイエルン
放送響(1954年11月)との演奏もあり>
◆テ・デウム:(モテット集を含む)ベルリン・フィル
◆ミサ曲:(ミサ曲第1~3番)バイエルン放送響
◆宗教曲集:(ミサ曲、モテット集他)バイエルン放送響